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osamumabu

牢屋んすずめ

彦一がはいっとる牢屋のある町、ぐるっと山にとり囲まれとってかり、田の中の少なかとこっだったてたい。そっだいけん、米は隣村かり月一回牛車に積んで持ってきよったげな。そんこつば知っとる山賊ども、そん行列ば ...

へいのつた

お城の裏手のほうは、だあも見みこんし、手入れもせんもんだいけん、石垣に植えたつたのやつが、土べいを上がり、お城の屋根まで、のぼってきとったげなたい。ところがたいある日にそば見つけてかり、 「こっじゃい ...

わたかい

中嶋町によくいいわた屋があったげなたい。いなかもんだとみたなら、高こうわたばうりつけよったげな。彦一が、こりをきいて、わた買い行ったげな。 「ごめんなっせ、わたの実を五しょうばっかりくだり、実はなぁ、 ...

いももんどう

八代の町の徳平ていう、人かりだまされたことのなか、ぶげん者のいんきょさんのおらしたげな。彦一は、こんひとばだましてみんばんておもち、庭さきんとこっで、 「ごいんきょさん。ことし、わしがつくったからいも ...

すすだけうり

「ささやぁ、すすだけえ。」 年の暮れの寒か日のこつ、八代町を彦一が売ってされきよったげな。とこるが、平屋と油屋の番頭どんが、 「ほら、こんまえ、かごん上、きじばのせて、からす、からすていうて売っといて ...

ものいうねこ

彦一うち にゃそおんりこうかねこのおったげな。ある日、おくさんがぬいもんばしとらすと、にわか雨あふってきた。ちょうど外でひるねしとったねこがたまがって、 「かかさん、雨ふってきたばい。」 て、いうた。 ...

きのこ

松井の殿様な、きのこんがそうにゃ好きだったげな、ある年、 「一軒かり千本ずつ、木のこばもってけ。」 て、役人どんが彦一の村もいうてきたばってん、こんとしゃ、また、でん年だったげな。どぎゃんすんならよか ...

お金もち

ぜにをもたん彦一だけん、うんと彦一に頭ばさげさしゅておもて、きつねが綿屋金兵衛ちゅう八代一のぶげいしゃにばけ、萩の土手で、まっとったげな。とこるが、彦一も錦屋のだんなんが、こぎゃんとこり一人おらすはず ...

切腹した彦一

師走が近づくと彦一の家には、毎日借銭とりの多くきてこまっとったげな。そこで、おくさんと相談して、魚屋からまぐろん腹わたば、家へかって来て、彦一の腹に上のせて、死んだまねばしとったげな。借銭とりの来った ...

彦一と大石

さんかんのところで、村者たちが何かがやがやさわいどる。ゆうべの大雨で、山くずれして、太か石のおちて、道をふさいでしもうとる。あんまり太か石で、重うして、だあれもどぎゃんもしきらんだったげな。こまっとる ...