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ヤンモチまんじゅう
「彦一、今日はどこ行くの。弁当持って。」 「竜峰山に行きます。」 ふろしきづつみを、ぶらぶらさせて、てっぺんにのぼったら、うしろからベッビン狐がのぼってきます。 「どら、このあたりでひるねをします。」 ...
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粉すくい
彦一が、まあだ子ども時のこと。彦一の家は、貧乏でした。彦一は、感心にも野菜を売ったり、つかい走りばして家族を支えていました。ある日、粉ばひいて売る店の前ばとおりかかったら、そこにいた人達が、「おい、彦 ...
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地獄の彦一
彦一がもとうとう死んだ。さんざん人も狐もだまかしたから地獄行きはきまっていた、いまわのきわに奥さんに、重箱二段にケランモチ、もう一段にはアンの代りにワサビば入れち作らせて、そるばさげて地獄へ向かったそ ...
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サンカンの狐
八代の高田と日奈久温泉と言うところの間に、サンカンの狐というのがいて、よく人ばだましてました。ある日、彦一は奥さんと話し合って、馬にのせてサンカンを通りかかり、「お前、一週間するといいにわとりを持って ...
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ドジョウ汁
「彦一、ドジョウをたくさんもらったので、久しぶり集まって飯ば食おうや。」と近所の仁が言ってきた。四、五人集まることになって、それぞれ醤油、砂糖、野菜というぐあいに持ちより、彦一は生豆腐ば2丁持って行っ ...
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彦一の負
彦一も奥さんにはまいっていました。あしたは熊本まで歩いて行くという前の晩、奥さんに内緒でニゴリ酒を買って、戸棚に入れときます。奥さんは、お金をかせがず、酒ばかり飲んでいる彦一が隠しているニゴリ酒を、あ ...
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宇土の狐スグルワラ
「宇土のスグルワラ名」の、珍しく化け上手の狐が、宇土におりました。馬のクソを、まんじゅうに見せてだますとのが得意です。彦一は、この狐をこらしめてやろうと、この狐へ八代から生きた鮒をもって行き、ごちそう ...
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困った米
狐がいつ仕返ししたいとたくらんでいた。それを聞いた彦一は、師走の支払いに大変な時ではあるし、朝、暗い中に家の前の往来に、米を点々とこぼしておいて夜のひきあげ、「朝からこんなに散らしたら困ったもんだ、小 ...
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殿様の行列
いつも悪さを働く野上のベッピン狐に痛い目を見せてやろう、と考えていた彦一が、殿様の行列が明日あることを聞いて、狐に化かしくらべを申し出た。約束の時刻に、萩原堤の松の枝にのっていた狐が、下を通りかかった ...
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あまのじゃく比べ
彦一の村には、金作(きんさく)という、とてもつむじ曲がりのおじいさんが住んでいます。この金作は、人が山と言えば川と言うし、右と言えば左と言うような人です。そんな金作にすっかり困り果てた村人たちが、彦一 ...