「こら、わからん、ちょっとよ待っとれ、殿様に言うてくるけん。」
殿様がこらして、
「殿様、どぎゃんでしゅうか、今、根はうち切っとってかり、枯れちしもうたなら、とるごっすっとしゃがにゃ。」
「うん、よかたい。」
そん話を、ちょうどきいとった彦一が、
「ちょっと待ってはいよ、そぎゃんこっすっと、つたはとれんごつしなりますばい。」
すっと、殿様の、
「ばかんこつ、木でん草でんかるっとしゃがにゃ、よおなってしまうどもん、かれちかり取った方が、よかろばい。」
彦一、床の間のふじづのかごばゆびしゃてかり、
「こうば見てはいよ、つくっときゃなましかけん、どぎゃんでんまげられますばってん、こぎゃんなってから、どぎゃんもでけまっせんもんな。ふじづるも、つたと同じこつのごたるものですけん、今とった方がよかっじゃなかろうかて思いますばってん。」
聞いとった、とんさんも役人も、ほんなこっと思うてかり、また、仕事ばはじめらしたげなたい。