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彦一どん

狐とやんぼし

ある日のこつ、やんぼしどんが萩原のともば行きよらすとこれ、狐やつが草に、ひんねしとったてたい。そっば見たやんぼしどんな、ふざけてかり太かほら貝を、狐の耳のとこっで「ウワーン」て吹きならきゃて見とらすと、トロトロ よか気持で寝とった狐やつぁ飛びあがるごつ、たんがって「キャンキャン」にゃあて、麓ン山ン中さん逃げち行ったてたい。はらを抱えて、脳のねじるうごつ笑うて見とらしたてたい。狐の耳のンコマクの打ちゃぶれてかり、いっちょん聞こえんごつなったげな。そっで狐やつぁ、そうにくらしくて、どぎゃんなっとして、やんぼしどんばやっつけちやろて、なんのかんのて思案したばってん、あからんもんだけん、しょてかり知っとった、出町ン彦一に間きたげん

「やしいこったい。こぎゃんしてみんかー。」

て、教えたげな。こんやんぼしどんな、八代にきてから、よう泊まる百姓家の宮地にあったげな。狐やつは彦一教えられたごつ、ある日、そこん家のもんの畑さん行かすとば、つけち行たてかり、わざとそん百姓の者の目につくこつして、藪中かりチョコチョコ姿ばじゃて、しば葉や草の葉ば体にひっつけち、やんぼしどんにばけちみせたげな。そしてかり、そんまま宮地の家さん行くまねばして山さんもどっていったげな。百姓は仕事をすんでかり家さんもどって見つとやんぼしどんの、縁がわゃ腰かけて煙草どんのみよらすもんだけん

「おどりゃ、こん狐げだ!まあだ、やんぼしどんに化けとる。」

て、言うてかりとなりきんぺんのもんば、よびあつめちきとって、太かこん棒や、竹ン棒で、やんぼしどんばポカポカめった打ちィさしたげな。やんぼしどんな、ほんなこてふてめおうて逃げじゃあて、そっかさき、八代に姿ば見せらっさんごっならしたげな。

-彦一どん
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