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⑯~㉚話

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彦一どん

犬になった彦一

弥一どんが「おい彦一、久しぶりブリば腹一ぱい食うてみたい。」と、さそいに来た。 「タダのごたるげな。」 「よかたい、行こい。」 二人つれだって、中島町のサカナ屋から一尾ずつ買(こ)って、出町までもどり ...

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宇土の狐スグルワラ

「宇土のスグルワラ名」の、珍しく化け上手の狐が、宇土におりました。馬のクソを、まんじゅうに見せてだますとのが得意です。彦一は、この狐をこらしめてやろうと、この狐へ八代から生きた鮒をもって行き、ごちそう ...

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生きている絵

「ごいんきょさん、めずらしかもんが手に入りましたけん、見に来なりまっせんか。」と、ごいんきょさんを連れて来た彦一が、掛軸を見せた。女が傘持って立っとる絵だった。 「雨の降る日に、この傘ばさします。めず ...

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彦一の負

彦一も奥さんにはまいっていました。あしたは熊本まで歩いて行くという前の晩、奥さんに内緒でニゴリ酒を買って、戸棚に入れときます。奥さんは、お金をかせがず、酒ばかり飲んでいる彦一が隠しているニゴリ酒を、あ ...

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旗という字

正月のドンドやきの前の日、子供が十人ばかり集まって、ドンドヤやきのしこ(準備)ばしておりました。竹はマン中に立てて、そん上につける色紙に「ハタ」という字ば書こうとししましたが、一人も知りません。 「カ ...

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ドジョウ汁

「彦一、ドジョウをたくさんもらったので、久しぶり集まって飯ば食おうや。」と近所の仁が言ってきた。四、五人集まることになって、それぞれ醤油、砂糖、野菜というぐあいに持ちより、彦一は生豆腐ば2丁持って行っ ...

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太か友だち

彦一が、めずらしく神妙になって、つきあいの百姓家の仕事のヒマの時、馬ば借って、竜峰山にタキギとりに行きました。日暮れになって、馬に一ぱいつんで帰りよった風呂屋の前まで来たら、そこ主人が呼 びとめた。 ...

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サンカンの狐

八代の高田と日奈久温泉と言うところの間に、サンカンの狐というのがいて、よく人ばだましてました。ある日、彦一は奥さんと話し合って、馬にのせてサンカンを通りかかり、「お前、一週間するといいにわとりを持って ...

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ベンデン柿

もう、出て来そうなもんだが……。」と、彦一がフロシキヅツミをさげて、宇土の手前まで行ったら、ヒョイと「宇土のスグルワラ」という狐が出て来たそで。 「彦一さん、何だろうか、そのツツミは……。」 「これか ...

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地獄の彦一

彦一がもとうとう死んだ。さんざん人も狐もだまかしたから地獄行きはきまっていた、いまわのきわに奥さんに、重箱二段にケランモチ、もう一段にはアンの代りにワサビば入れち作らせて、そるばさげて地獄へ向かったそ ...

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粉すくい

彦一が、まあだ子ども時のこと。彦一の家は、貧乏でした。彦一は、感心にも野菜を売ったり、つかい走りばして家族を支えていました。ある日、粉ばひいて売る店の前ばとおりかかったら、そこにいた人達が、「おい、彦 ...

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ヤンモチまんじゅう

「彦一、今日はどこ行くの。弁当持って。」 「竜峰山に行きます。」 ふろしきづつみを、ぶらぶらさせて、てっぺんにのぼったら、うしろからベッビン狐がのぼってきます。 「どら、このあたりでひるねをします。」 ...

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かねのなる木

彦一が、京都の本願寺まいりにいきました。そばの宿屋にとまったら、そこの主人が、むごう庭造りが好きで、自分の庭ば自慢しておりました。 「フム、なかなかよか庭でござすな。しかし惜しい、じゅうりカズラと、か ...

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はなせ、はなせ

彦一が、熊本からのもどり道、宇土の茶店でおもしろい話しで皆をワンワンはずませていました。出かけるとしたら、 「八代へ行くとは幸い、同道いたせ。」と、二人の武士が、しゃりむり道連れになりました。 「しも ...

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キャクさる鯛

彦一がブラッと八代の町を歩いていたら、魚売りが、威勢のいい声で、 「鯛ヨイ、鯛ヨイ。」 と、ふれて行くのに出会った。 「ようし、」 と思って、 「鯛ヨイ、鯛ヨイ。」 にひっかけて、 「キャクさっと、キ ...

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